ボクは軟投派。右アンダーハンドの軟投派。
たいして速くない球投げて、打たせて取るのが信条さ。
ボクは軟投派。持ち味生かした軟投派。
右の下から猿腕生かし、ボールを動かす軟投派。
緩急付けて内外投げ分け、リズムで惑わすピッチング。
もともと持ってた速球捨てて、プライド持ってたカーブも捨てて、
生き残るため生まれ変わった。勝ち残るため腕を降ろした。
相手になんと言われようとも、後悔はない、これで生きてく。
左にキレるカットボールに、右にキレてく高速シンカー、
ふわりと左にスローカーブと、するりと右にチェンジアップで、
相手の狙いをあざむきズラし、ごまかしあせらす軟投派。
相手が焦ればこちらのものさ。相手が待ってもこちらのものさ。
狙いを付けたその瞬間に、少し傾き変えてやるのさ。
微妙にズレる変化の軸と、わずかに変わる速度の妙で、
バランス崩せばこちらの勝利。考えさせれば術中ハマる。
相手に考えさせる間合いと、相手に考えさせない間合い。
リズムが大事、テンポが大事。
表情一つ、変えやしないぜ。いつも同じさ。いつもと同じ。
県大会の三回戦で、かつての仲間にヤジられたのさ。
「正々堂々、勝負しろよな。」
点差は2点、このまま行ける。だけど相手も必死に叫ぶ。
知ったことかと思いながらも、背中に汗がジワリとにじむ。
見せてやろうか、ボクの本気を。
思わず投げる、力んだボール。
右にキレてくはずのボールが、まっすぐ飛んで真ん中に行く。
金属バットが「キン」と叫んで、ボールが遠く頭上を越える。
リズムを失い、我を失う。気が付いた時、ベンチにいたよ。
涙が頬をほろりとつたう。
肩を叩いた監督さんに、
「そりゃそうだよな、人間だから。」
言われてボクは声あげ泣いた。
僕は軟投派。右アンダーハンドの軟投派。
まだまだ未熟な投球術の、未完成なる右サブマリン。
今度投げるときにはきっと、笑ってみせる、マウンド上で。
※ これも他で昔書いたポエム調の短編です。
平家物語の文章のリズムにあこがれて、声に出して読んでみたい文章を書こうと志向しました。
たいして速くない球投げて、打たせて取るのが信条さ。
ボクは軟投派。持ち味生かした軟投派。
右の下から猿腕生かし、ボールを動かす軟投派。
緩急付けて内外投げ分け、リズムで惑わすピッチング。
もともと持ってた速球捨てて、プライド持ってたカーブも捨てて、
生き残るため生まれ変わった。勝ち残るため腕を降ろした。
相手になんと言われようとも、後悔はない、これで生きてく。
左にキレるカットボールに、右にキレてく高速シンカー、
ふわりと左にスローカーブと、するりと右にチェンジアップで、
相手の狙いをあざむきズラし、ごまかしあせらす軟投派。
相手が焦ればこちらのものさ。相手が待ってもこちらのものさ。
狙いを付けたその瞬間に、少し傾き変えてやるのさ。
微妙にズレる変化の軸と、わずかに変わる速度の妙で、
バランス崩せばこちらの勝利。考えさせれば術中ハマる。
相手に考えさせる間合いと、相手に考えさせない間合い。
リズムが大事、テンポが大事。
表情一つ、変えやしないぜ。いつも同じさ。いつもと同じ。
県大会の三回戦で、かつての仲間にヤジられたのさ。
「正々堂々、勝負しろよな。」
点差は2点、このまま行ける。だけど相手も必死に叫ぶ。
知ったことかと思いながらも、背中に汗がジワリとにじむ。
見せてやろうか、ボクの本気を。
思わず投げる、力んだボール。
右にキレてくはずのボールが、まっすぐ飛んで真ん中に行く。
金属バットが「キン」と叫んで、ボールが遠く頭上を越える。
リズムを失い、我を失う。気が付いた時、ベンチにいたよ。
涙が頬をほろりとつたう。
肩を叩いた監督さんに、
「そりゃそうだよな、人間だから。」
言われてボクは声あげ泣いた。
僕は軟投派。右アンダーハンドの軟投派。
まだまだ未熟な投球術の、未完成なる右サブマリン。
今度投げるときにはきっと、笑ってみせる、マウンド上で。
※ これも他で昔書いたポエム調の短編です。
平家物語の文章のリズムにあこがれて、声に出して読んでみたい文章を書こうと志向しました。

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